まっしろしろすけ

1/1
前へ
/11ページ
次へ

まっしろしろすけ

「これを飲め。」 かなり大きいカプセル型の薬を渡される。 「これ……なんの薬……?」 「いいから飲め。」 無理矢理飲まされる前に自分から薬を飲む零。 今までの薬はあまり効果がなかったり、逆に効果がありすぎて呼吸困難になったり、激痛が伴うものだったが、今回はあまり効果がないものを飲んだらしい。 ほっと胸を撫で下ろす零。 感情がほぼ無くなったからと言って怖くない訳では無い。 「これはなんも効果が出ないのか……ふむ……まあ経過観察をしてみるか。零、もう夜が遅いから寝ろ。これは命令だ。」 「はい。」 一夜明け、次の日になって零は違和感を覚えた。 「(肌が白くなっている……?)」 急いでトイレの鏡で自身の姿を確認する。 すると、髪の毛や眉毛、それに肌の色がいつもより、いや、だいぶ白くなっている。 「ここに居たのか……ん?お前、全体的に白く……おい!検査室へ来い!今すぐだ。」 急に研究員が入ってきたかと思ったら、グイッと腕を引っ張られる。 「痛い……」 興奮した研究員は零をグイグイと引っ張る。 検査室へ到着した頃には腕が赤くなっていた。 「脱げ。」 研究員は言う。 「え?」 「早く脱げ。全身を検査する。」 さすがに脱げと言われ、困惑するが、大人しく服を脱ぐ零。 「ほぅ……全身がほぼ真っ白に近いぐらいに白くなっているな……昨日の薬剤のせいか?そうとなると…………」 「あの、もう……着ていいです…か?」 「まだ写真を撮っていないだろう?」 そう言ってカメラを用意する研究員。 さすがに恥ずかしいのか、手で色々なところを隠す零。 「おい、隠したら実験結果に反映できないだろう。ちゃんと直立しろ。」 「……」 零はそう言われ、少し顔を歪ませながら直立する。 何枚か写真を撮られた後、服を着ていいと言われ、急いで着る零と、興味深々に零を見る研究員。 「これを何かに活かせるか……?」 ブツブツと研究員が何かを言っているが、無言で服を着ると、「戻っていいですか」と許可を得て部屋に戻る零。 もう嫌だ。そう思いながら、朝食の代わりのサプリメントを飲むのであった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加