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まっしろしろすけ
「これを飲め。」
かなり大きいカプセル型の薬を渡される。
「これ……なんの薬……?」
「いいから飲め。」
無理矢理飲まされる前に自分から薬を飲む零。
今までの薬はあまり効果がなかったり、逆に効果がありすぎて呼吸困難になったり、激痛が伴うものだったが、今回はあまり効果がないものを飲んだらしい。
ほっと胸を撫で下ろす零。
感情がほぼ無くなったからと言って怖くない訳では無い。
「これはなんも効果が出ないのか……ふむ……まあ経過観察をしてみるか。零、もう夜が遅いから寝ろ。これは命令だ。」
「はい。」
一夜明け、次の日になって零は違和感を覚えた。
「(肌が白くなっている……?)」
急いでトイレの鏡で自身の姿を確認する。
すると、髪の毛や眉毛、それに肌の色がいつもより、いや、だいぶ白くなっている。
「ここに居たのか……ん?お前、全体的に白く……おい!検査室へ来い!今すぐだ。」
急に研究員が入ってきたかと思ったら、グイッと腕を引っ張られる。
「痛い……」
興奮した研究員は零をグイグイと引っ張る。
検査室へ到着した頃には腕が赤くなっていた。
「脱げ。」
研究員は言う。
「え?」
「早く脱げ。全身を検査する。」
さすがに脱げと言われ、困惑するが、大人しく服を脱ぐ零。
「ほぅ……全身がほぼ真っ白に近いぐらいに白くなっているな……昨日の薬剤のせいか?そうとなると…………」
「あの、もう……着ていいです…か?」
「まだ写真を撮っていないだろう?」
そう言ってカメラを用意する研究員。
さすがに恥ずかしいのか、手で色々なところを隠す零。
「おい、隠したら実験結果に反映できないだろう。ちゃんと直立しろ。」
「……」
零はそう言われ、少し顔を歪ませながら直立する。
何枚か写真を撮られた後、服を着ていいと言われ、急いで着る零と、興味深々に零を見る研究員。
「これを何かに活かせるか……?」
ブツブツと研究員が何かを言っているが、無言で服を着ると、「戻っていいですか」と許可を得て部屋に戻る零。
もう嫌だ。そう思いながら、朝食の代わりのサプリメントを飲むのであった。
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