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そこまで聞いていた友人はミルクティーを飲み干すととりあえずアレだな、と言った。
「お前香りが強い物が嫌いなんだな」
「たぶんな。本格中華に入ってる八角と粒山椒もダメだ、だから中華街では麻婆豆腐食べないようにしてる。見た目じゃわからんもんばっかで頭いてえよ。口に入れた瞬間広がる香りに俺は何度泣かされてきた事か」
「じゃあ残すの?」
「いや、ちゃんと食うよ。生産者と作った人に失礼だろ」
「そういうとこはしっかりしてんのな」
一通り怒って疲れた。新発売の缶コーヒーを開けて一口飲む。すると友人があれ? と言ってきた。
「お前それ飲めんの?」
「……」
もう口に含んだから仕方ないので飲み込む。吐き出すわけにもいかねえし。それに液体って自分の意志関係なく喉の奥に落ちていくもんだよな。
見た目に騙された。スタイリッシュな見た目をしてどこぞの有名バリスタ協力のもと開発、とか書いてやがるから安心して飲んだわ。ふざけんな、責任者表出ろ、この見た目どっからどう見ても100人いたら100人誤解するわ。パッケージ黒かったらブラックにしか見えねえだろうがよ!
ワナワナと震える手で持つ缶コーヒーのパッケージには豆粒みたいな小さい字で書かれている。
”微糖”
「コーヒーに砂糖入れんじゃねええええええ!!!」
END
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