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過去を思い出し長く息を吐き目線を下げると自分の恰好が飛び込んでくる。
直視し出来ず、すぐに目線を戻すと首の後ろを掻きながらいつも思っていたことを言った。
「係長、この格好はどうにかならないんですか。せめて網じゃなくってバズーカ型の捕縛ネットとか、かごももっとスタイリッシュな形にするとか……」
このわんぱく小僧スタイルから少しでも脱却出来ればと思い提案したが、係長は思ってもないことを聞いたとばかりに目を瞬かせた。
「見た目はこんなんだが、性能はバッチリなんだぞ?
人魂を傷つけず柔らかく捕獲する天国産蚕の糸で作った網。
居心地抜群! まるでスィートルームに泊まっているかのようなかごは一度捕らえた人魂を逃がさない。
計算されつくした道具を不良も出ていないのにどうして変える必要がある?」
(モテないからだよ!)
俺の心の中の叫びは二人には届かない。
笹竹は係長の言葉に「すげ~! すげ~!」とはしゃいでいて、係長も得意そうだ。
一気に力の抜けた俺は「もういいです……」と呟いた。
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