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*水遊び
恥ずかしいから浴室の電気はつけなかった。
脱衣所のオレンジの光が半透明の折れ戸から入ってくる。入浴剤の入った乳白色の湯に通政さんが浸かると、その前に足を曲げて小さく座る。
「もたれてくれ」
彼の言葉に導かれるように、ゆっくりと通政さんの厚い胸に頭をつける。上を向くと彼と目が合う。顎を彼の指先で持ち上げられてくちびるが触れる。
「……」
彼はゆっくりとくちびるを離すと下を向いた。
「通政さん? やっぱり何か変です。どうしました?」
彼はしばらく考えていたが、大きく息を吐いてから話しはじめた。
「……やっぱり椿の一番の男になりたい。どうすればいい? どうなればお前の……」
「……通政さんが……一番ですよ」
彼は驚き目を瞠る。そして信用ならないというように眉を顰めた。
「すいません。その、言うのが恥ずかしいっていうのと、通政さんに怒っていたから言いませんでした」
「前した時には他の男を考えていただろう?」
前? 前のエッチの時の事だろうか。
「それはカッコいいなと思った俳優さんをてきとうに想像してました。私だけ通政さんを見ているのは何だか悔しくて」
「本当か?」
「はい、本当です」
通政さんは息が止まったように三秒程私を見つめると、大きなため息をついた。
「はぁーーーーっ」
肩の荷が降りたように吹っ切れて彼の顔の緊張が解れていくのがわかった。
「誤解が解けたみたいでよ何よりです」
「全くだ。椿に他の相手がいると確信した時は頭を鈍器で殴られたようだった」
「うわあ痛そう」
「ああ、痛かった。癒してくれ」
彼は私の顔にくちびるを寄せて、頬にキスの雨を降らせる。
「ちょっ、くすぐったいです」
「だめだ、離さない」
逃げようとする私の両肩をガッチリと抱き留めてキスをされる。彼のくちびるが頬から耳、うなじへと降りていく。
「んっ、やぁ。くすぐったい」
首元を吸われてチクリとした痛みが走る。
「んっ」
肩を抱いていた彼の手が乳房に降りてくる。両胸をなぞるように触れられてビクッと体を揺らす。何度も彼に抱かれた身体は彼の指先に敏感に反応するようになってしまった。両胸を円く揉まれると、乳白色の湯から尖った先端が見え隠れする。
「あん、んぅ……」
先を摘まれて腰に甘い痺れが走る。
「椿……綺麗だ」
彼は私の首筋に顔を埋めて愛しげに火照った身体を見つめた。
「んっ、そんな、こと……」
「綺麗だ」
首を這い上がるように舐め上げられて自然と背筋が伸び上がる。
「足、開いてくれ。……そう、いい子だ」
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