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 翌朝、ザックの腕の中で目覚めたジーンは、自分を見つめる淡いブルーグレーの瞳に気付いてぎょっとした。 「一体いつから起きていたんです?」 「今さっきだ」  ザックはからかうように目を細めて言った。 「夜通し寝顔を見つめていたわけじゃないから安心してくれ」  なるほど。それなら安心――とはならない。寝顔をじっと見つめられていた気恥ずかしさを誤魔化そうと、ジーンは彼の腕から抜け出し起き上がった。 「シャワーを借りても?」 「もちろん」  ジーンは床に脱ぎ散らかした衣類を拾いながらバスルームに向かう。  なぜかザックも後ろからついてきて、結局ふたりでシャワーを浴びることになった。  一夜が明けてもザックはセクシーで情熱的で、ジーンを愛することに熱心だった。  朝からシャワールームで互いの体をまさぐり合い、最後はザックの熱い咥内で果てた。 「ルームサービスでも? それともホテルのレストランに行くかい」  ジーンの髪をふかふかのタオルで優しく拭きながら、ザックが尋ねる。  正直、恋人に献身的なタイプには見えなかったので――仮に最初だけだとしても――ザックの態度はかなり意外だった。一晩明けたら態度が豹変して冷たくあしらわれたり、部屋から叩き出されたり……という心配をしていたわけではないが、大抵の男はベッドの中で掛けるほどの情熱と気遣いを、朝まで持続できないものだ。 「いや……」ジーンは少し迷ってから答えた。 「着替えたら帰ります」 「……そうか。朝食は取らない派?」  あからさまな落胆は見せなかったが、ザックが本心から残念だと思っているのが伝わってきて、ジーンはそれが嬉しかった。ジーンは微笑んだ。 「次はいっしょに朝食を取りましょう」
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