彼氏くんと彼女ちゃんの話 5

3/4
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
***** 帰り道。 「……ってことがあってね」 溜め込むのは性にあわない。 昼休みのことを早々に彼に話した。 「実は私が彼女ですーって、言えなくて。 ごめんね」 「……俺、そんなに女子の話題にあがるのか……知らなかった……!」 「そこ?! やかましわい、いがぐり頭! そこは特に気にせんでよろしい。なによー自意識過剰?」 彼は薄く笑って彼の昼休みの話をしてくれた。 なんでも、彼のことを好きな女子(おなご)がマネージャーさん以外にも存在するらしい……! 「おぉう、モテ期……俺にモテ期襲来……?!」 「……なによー。 ぷーんだ」 「お、怒った? 拗ねちゃま?」 彼が顔を覗き込んでくれた。 くそぅいがぐりイケメンめ。 「そうで()ねー。 別に。 だってマネージャーさんのこと、フッてくれたんでしょ」 そう言うと、彼はイケメンスマイルをこちらに照射してくる。 「……なんとも思ってない人にいきなり好きって言われても、なぁ。 困るぞ? こっち彼女いるのに」 「……(眩しいって……)。 『彼女いるとは言ってない』んでしょう? よく言う……」 「おうおう……『私が彼女でーす』って言えなかった人の台詞とは思えんぞ」 むむぅ。 間違いじゃないけどちょっと違う、と主張したい……! 「くっそう……いつか超絶素敵なイケメンくんに告白されてやる……! で、私と同じ思いを味わうがいい……!」 「はいはーい、願い事は神社で神様に、もしくは流れ星にでも伝えようなー」 鼻であしらわれた、ムッキーとか思っていたら。 このイケメン彼氏くん、微笑みモードでサラリと言ってきた。 「そん時ゃ、俺が。 『俺の彼女に手ぇだすな』って言ってやるよ……ほれ、それでいいだろ? 機嫌直せって」 「もう! 間髪入れずにこのイケメンは! ずるすぎかー!」 ポカポカ殴っておいた。 この幼馴染くんは自分のツボを心得すぎじゃないでしょうか……?!
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!