2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
重い瞼を開けると、そこは見知らぬ場所だった。ベッドと机、クローゼットがあるだけの簡素な部屋だ。妙な解放感に自分の身体を見ると、一糸纏わぬ姿でベッドに寝かされていた。私は驚いて飛び起きる。
「な、なんで……?!」
「あ、起きた?」
声の方に顔を向けると、そこには『ケンちゃん』がいた。彼も裸だ。
「アイちゃんの初めて、もらっちゃった」
嬉しそうに笑う男に、血の気が引いてゆくのを感じる。
「あはは、なんてね。ただ服を脱がしただけだよ。顔を青くしちゃって、かわいーね」
男は私の頭を撫でる。私は嫌悪感から、その手を振り払った。私から拒絶されても、『ケンちゃん』は笑顔を崩すことはない。
「僕を拒絶しても無駄だよ。ねえ、これ見て?」
『ケンちゃん』がスマートフォンを取り出して画面を見せる。そこに映っていたのは、裸の私と彼がベッドで寝ている写真だった。
「これ、他の人が見たらどう思うだろうね」
「や、やめて……!」
私はスマートフォンを奪おうとするが、彼はあっさりとそれをかわした。
「バラされたくなかったら、僕の言うこと……聞けるよね?」
目の前が絶望に染まる。項垂れる私に、『ケンちゃん』は口元を歪めた。
Fin.
最初のコメントを投稿しよう!