最後に。

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最後に。

無事に離婚成立。 慰謝料はきちんと払ってもらった。 勿論、相手の女からも。 彼女は300万が無理で半分、夫に立て替えてもらってお給料が出るたびに夫に支払う許可をくれと言ったが、私は断固拒否した。 親に立て替えてもらうならいいよ、と言うと電話の向こうで泣き出した。 「知られたくないなら不倫なんかしなければいい。人の夫に手を出して家庭を壊しておいて、自分は親から可愛い娘に見られたいなんて随分都合の良い考えだと思わない?言えないなら言いに行こうか?」 「ひどいです!私だけが悪いんですか?ご主人だって私に手を出したのに!」 「うん、だからあいつの親には話したけど?うちの親も知ってるし、子供も…娘も父親が他に好きな人がいるって知ってるよ。娘にそれを知られるって親としてもきついけど娘はもっときついよ。だけどあんたみたいに責任転嫁してビービー泣いてないけどね。」 「お子さんにそんな事言うなんて、あなたはひどい母親です!」 「母親ってショックを受けて傷付いて怒ると強くなるみたいなんだよね?悲しくてつらくて苦しくて死にそうで…殺しそうだった。夫もあんたも。だけど怒りも突き抜けちゃうと怒っているのが分からないみたいなんですよ?本当はずっと凄ーく怒っているんですけどね。だから私が冷静に話しているうちに自分の事、振り返った方がいいですよ?ご自分で親に話すか話されたいか、決めておいてくださいね。」 通話を切ると、怒りが沸々と湧く。 あんな女に…と再度夫を殴りたくなる。 「ママ!見て!書けた!」 自慢気な娘の顔を見て怒りメーターが落ちて行く。 「上手!ちゃんと漢字で名前かけてる!覚えたね。」 名字が変わり、小学校を前に名前だけ漢字の練習中。 幼稚園を挟んで逆方向に部屋を借りたので、お友達と同じ小学校に行ける。 住む環境が変わったので他の所は変えないであげたかった。 父親とは月に一度面会する。 そこも約束があり、女と一緒に会わせない事。 今も夫の顔を見ると私の怒りメーターは勝手に上がるが、突き抜ける事はなくなった。 もう何年かすれば本当にどうでもいい存在になって、怒りメーターも要らなくなるだろう。 怒りは精神を苦しめて心を傷つけて相手さえも傷付けてしまう。 お互いを苦しめる前に素直に認めて謝れば、怒りメーターを振り切る事はなかったのにと思う。 私は今も怒る事は人間だから当たり前にあるけど、怒った時ほどひどく頭がひんやりして冷静になるようになった。 まぁ、そういう時の怒りが実は一番、怖かったりするのだけど……。 ーーー   完  ーーー        2021、8、26
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