意外な援軍

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意外な援軍

昼過ぎに起きて来た夫はパジャマで出した食事を平らげた。 「今日、お休みならたまには沙知を迎えに行って?昨日の約束、覚えてる?」 コーヒーを出してお皿を下げながら聞くと、キョトンとした顔していた。 「え、やく、そく…俺、休みって言った?午後から……「言ったわよ!朝、仕事はって聞きに行ったら、昨日、深夜まで働いたから今日は休みでいいと言われたって!!沙知との約束、覚えてないの?」 夫の言葉を遮り、ドスの効いた声で冷たい目を向けた。 勿論、寝惚けた夫から朝聞いたのは、今日は午後から仕事だけど、どうせ覚えてないし本当は休みなのだから、彼女と何か約束でもしてるのかもしれない。 (あら…そういえば昨日お泊まりで今日休みなら出張とでも言ってずっと一緒にいればいいのに…どうして中途半端に帰宅したのかしら?) 「さ、沙知と約束!!覚えてる!うん!あれだ、父の日のプレゼントを受け取る!大丈夫!お迎え行くよ。」 罰が悪かった様で慌てて言い、シャワーに行った。 沙知にかっこいいお父さんと言われる為だというが、若い先生にかっこよく見られたいが為だと分かる。 シャワーの間にスマホを失敬。 メールには彼女から、『今日、休みが取れなくてごめんね?一緒に取る約束してたのに…』の文字。 (なるほど…彼女は1日しか無理だったと。まだ若手で他に休みの希望があれば出てくれと言われても嫌とは言えないわよね。つまり同じ会社、そして彼女が終わり次第、待ち合わせするつもりだったのね。) その証拠にシャワーに入る前にここで夫がこっそり打ったと分かるメール。 『ごめん!!部屋で待ってる約束だけど今日は行けない。休みが妻にバレた。今度埋め合わせするから、許して!❤️』 (❤️でなんでも許されると思ってるよね。) 情けない…と思いながらその画面のまま、バスタオルの上に戻した。 どうせ何も知らない妻、どうでもいい妻、だったら少しはドキッとすればいい。 ドキッともされないとそれはそれで少しショックではあるが…その場合、夫は既にその懐に離婚届を持っているのかもしれないと思えた。
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