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ところが、すぐさま既読になるものの、やはり翔平からの返事は届かない。
『おーい、翔平、どうしたー?』
またも既読スルーされてしまった。
「お、怒ってる?」
いつも穏やかな翔平が怒っているなんて、想像できない。だけど、もしかして……みちるは不安になっていく。
そこで、着信音が聞こえてきた。
「もしもし? 約束の時間、忘れてないか? え、忘れてない?」
隣のイケメンの声色にも焦りがにじむ。
「落ち着いてくれ。ほら、見てみろよ。ツリー綺麗だろう?」
イケメンはビデオ通話に切り替えて、巨大なホワイトツリーを背景に笑顔を作った。
『バカにしてんの? もう連絡してこないで。さよーなら!』
ところが、無情にも通話は途切れてしまった。
ディスプレイの向こうから冷たい声を浴びせられたイケメンは、笑顔のまま固まっている。
――うわー……。
みちるは他人事ながら、胸が痛くなった。
そこでふと、自分のスマホに目をやると――。
『悪い。もう無理。別れよう』
翔平からの返信に、愕然とする。
「ええっ! 別れるにしても、どうして今日なのよっ⁉」
スマホに向かって、みちるは叫んだ。
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