第一条 互いを愛称で呼び合うべし

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 ところが、すぐさま既読になるものの、やはり翔平からの返事は届かない。 『おーい、翔平、どうしたー?』  またも既読スルーされてしまった。 「お、怒ってる?」  いつも穏やかな翔平が怒っているなんて、想像できない。だけど、もしかして……みちるは不安になっていく。  そこで、着信音が聞こえてきた。 「もしもし? 約束の時間、忘れてないか? え、忘れてない?」  隣のイケメンの声色にも焦りがにじむ。 「落ち着いてくれ。ほら、見てみろよ。ツリー綺麗だろう?」  イケメンはビデオ通話に切り替えて、巨大なホワイトツリーを背景に笑顔を作った。 『バカにしてんの? もう連絡してこないで。さよーなら!』  ところが、無情にも通話は途切れてしまった。  ディスプレイの向こうから冷たい声を浴びせられたイケメンは、笑顔のまま固まっている。  ――うわー……。  みちるは他人事ながら、胸が痛くなった。  そこでふと、自分のスマホに目をやると――。 『悪い。もう無理。別れよう』  翔平からの返信に、愕然とする。 「ええっ! 別れるにしても、どうして今日なのよっ⁉」  スマホに向かって、みちるは叫んだ。
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