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――もう無理だってのは、なんとなく予感していたけど。
それでも、よりにもよってクリスマス・イブの夜に、別れ話はしてほしくなかった。
「…………惨めすぎる」
現実を受け止めるだけで精一杯だ。涙さえ浮かばない。そんなみちるの耳に届いたのは、淡々とした声だった。
「冷静になることだ」
「え……?」
みちるは、ギョッとして隣を見る。
「だから、こんなときこそ冷静になるべきなんだ。感情的になって相手を問い詰めたところで、復縁できる可能性は低いだろう」
間違いなくイケメンの低音ボイスは、自分に向けて発されたようだ。
「もしかして、私、アドバイスされてます?」
「アドバイス……まぁ、そうなるかな」
イケメンは少しだけ首を傾げた。
――そちらだって、失恋したばかりですよね?
みちるは、「ははは」と、力なく笑うことしかできなかった。
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