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不機嫌な様子をルームミラー越しに観察していたらしい。運転手の御子神一郎は宥めのつもりなのか、明るく声をかける。
「今日は梓巫女にしかできない依頼なんだろう。口寄せを頑張るって意気込んでいたじゃないか」
「そうなんだけど、やっぱり友達と遊びたいよ」
サイドガラスから景色を眺める。流れる建物はどれも眩く、かき氷の旗は涼しげだ。世間は夏を謳歌している。
「埋め合わせなら俺がするよ」
「私は友達と行きたいの」
ルームミラーに映る一郎の目尻は緩み、いたずらっぽく微笑んだ。
「相変わらずつれないなあ。まあ、そこが可愛いいんだけどね」
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