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1 女子高生と金髪フリーター、淑女の装いから依頼を受ける
ワンボックスは駐車場にて停車する。目的地は数メートル先にあるモダンな木造家屋だ。出入口となる自動扉の周辺は老若男女が問わず賑わう。ヨーヨー釣りに輪投げ、産地の野菜などが売られ、さながら祭りの様相だ。住宅展示場の催しに見えなくはないが、ここはれっきとした葬儀式場だ。道沿いに設置された看板には「家族葬ホールひだまり」と掲げられている。
この施設は葬儀式場の暗く怖いイメージを払拭するために建設された。明るい空間で楽しいイベントがあれば足を運びやすくなる。人が集まれば顧客の獲得に繋がり収益となる仕組みだ。葬祭業界は生き残りをかけ試行錯誤をしている。超超高齢化社会の到来によりライバル会社は増え、競争は激化。一件でも多くの葬儀を請け負うために、今後は小綺麗な外装が増えるのかもしれない。
家族葬ホールひだまりは誠実な接客に定評がある。その筆頭が葬儀式場の責任者である肥山丸之介だ。七福神の耳と求肥のようなもちっ腹。今日はちびっ子に囲まれて、腰周りをつつかれていた。
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