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「うーみ! どうしたの? いつも静かだけど、今日なんか漫画に出てくる、どんよりとしたあの黒い縦線が頭の上に見えるんだけど。」
「物凄く分かりやすい比喩するのやめてくれる?」
思わず笑いながら返すと、だってーと笑う相手。
彼女は、唯一父と母の職業やミュージカル劇団の名前を知っている、保育園からの大親友、真桜だ。
「今日も海の隣にしよーっと……って、おぉ! 綺麗! 何この筆箱についてるストラップ!」
「ほら、ハーバリウムって知らない? あれを敢えてプラスチックの容器に入れて、ストラップにしたの。」
忙しい両親と、たまにこうして小物を作る。
なかなか旅行にも行けないほど、かなり多忙な二人とゆっくり過ごせる時間で作るのは、スイーツデコだったり、ハーバリウムだったり、様々な物だ。
祖父母などの先祖がいると言われてきた仏壇に供えたり、家の装飾に使ったりと様々な用途がある。
おかげで一度に十は作るため、こうして自分用も作ることが出来るのだ。
「へぇ、これは? オイル?」
「ドライフラワーを、専用のハーバリウム用のオイルに入れてあるだけ。簡単でしょ? 今度真桜も一緒に作る?」
え、いいの!? と笑顔で言ってくれる真桜を見つめる。しばらく談笑しているうち、ふと思い出して、真桜に向き直った。
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