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「ねぇ、いつも私のこと褒めてくれるけどさぁ……貴女の名前、なんて言うの?」
『ふふふ、内緒!』
少しお姉さんのような存在。
いつも自分のことを見守ってくれて、たまにテストとかで分からない時にこっそり教えてくれたりもする。
幽霊というものが見えることは、つまりお化けがすぐそこにいるんだよっておばあちゃんが言っていたけど、全然怖くなかった。
*
「へぇ、そんな子がいたの?」
帰り道、真桜と寄る行きつけの喫茶店で、アイスティーを飲みながら頷く。
そう、これは友達。小学校低学年の間、ずっと支えてくれた友達。両親にも、真桜にも言えなかった友達だった。
そう言うと、真桜が首を傾げる。
「つまり、って話になるけど、今はいないの?」
「そう、急に見えなくなっちゃったの。小学校でマーチングバンドに入ったんだけどさ、その時、私その子に言われる前に『何としてでもドラムメジャーがやりたいです!』って言って、それ以降一切姿見なくなっちゃって。」
何か言おうとした真桜を止め、もう一度口を開く。
「今考えれば分かるよ。私がちゃんと自分の意見言えたから、安心していなくなったのかなって。今思えばどう考えてもこの世の人間じゃないし。」
しばらく考え込んでいた真桜が、サッと勘定が書かれた紙を取り、こちらを見た。
「ねぇ、今から時間ある?」
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