幻の友人

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 「ただいまー!」  「お、お邪魔します……。」  意気揚々と玄関の扉を開けて入って行く真桜、その後ろを控えめについていく私。  屋敷とも思えるほどに広い真桜の家は、何度も来て、お泊まり会を何度もやったというのに、未だに慣れない。  「あら、真桜おかえり。あと……もしかして海ちゃん?」  「あ、はい……お久しぶりです。もうあまり来れてなかったから……大学の入学式ぶりですかね?」  「そうね! お姉さん、って感じじゃない。空音(そらね)さん……えっと、お母さんは元気?」  しばらく思い出話に花を咲かせていると、先に上がっていた真桜が、階段の前で手招きした。  「海、来て。」  その後ろ、階段の上には真桜の姉がいる。  真桜の母親に会釈してから、足早に上がらせてもらい、そのまま真桜と共に二階の一室に案内された。  「初めましてになるね。私は彩矢(さや)、今二十五だから……海ちゃんとは五歳差かな。いつも真桜がお世話になっています。」  真桜によく似た顔立ちの彩矢に慌ててお辞儀すると、適当に座ってて、と言われ、床に腰を下ろした。  落ち着かない雰囲気にそわそわしていると、本棚をずっと見て回っていた彩矢が戻って来た。  「真桜から話を聞いたんだけど……もしかして、その女の子って、この子かな。」  彩矢が指さした先を見て、息をのむ。  小さなアルバムの中、まだ五歳ぐらいの彩矢らしき人が座っている写真がある。  その隣、ずっと自分が会話していた、白いワンピースを着た女の子が微笑んで座っていたのだ。
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