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その気持ちは分からないでもない。
神格を得た俺たちは、現世でいう八尾萬の神に該当する。
とはいえ、如月は偶像崇拝から生まれた神であり、白檀香と亜久莉を除く他の奴らは、成仏できない魂が元となっている。
そんな幽霊と偶像の成り上がった駿河七神は、信仰心を集めた神々から軽蔑されるのが常だった。
それでも当時の如月は諦めなかった。
街と相模辺路を守る為、積極的に寄り合いに参加していたし、神としての掟も心得ていた。
だからこそ婚姻の承諾を得る為に、桜子を寄り合いに連れて行ったのだが、
人間の女を妻に迎えるなどと馬鹿げた事を抜かすな———穢らわしい邪神教の娘が、よく顔を出せたものだな———と、罵声を浴びせられた。
ただ一人、東山の神を統括する天神珠命という尾張の神だけが賛同してくれたらしいが、結局桜子と如月は破局し、俺たちと東山の神々は、犬猿の仲になったのだ。
パチンっ、と音がして顔を上げる。
如月の人差し指の先に、赤い炎がちろり、と揺れた。それが封筒の角に触れると、怒りや苛立ちを孕んだかのように激しく燃え上がる。
「この寄り合いは、『邪神報告規定』に則り、亜久莉が書いた禍津神の報告書を元に開かれる。招待状なんか必要無いのさ」
如月の白い顔にちらちらと炎の反射が煌めいている。白檀香が「ああ、そうだな」と言って指を鳴らしたとたん、ボンっと爆発音がして、一瞬のうちに封筒が灰になる。
「そういや、東山を統括していた尾張の神‥‥確か天神珠命と言ったな。そいつが禍津神によって殺されたらしいぞ」
「殺されただぁ!?天神珠命っつったら、東山最高位の神だぞ、そんなやつが簡単にやられるわけないだろ」
俺の声のあと、短い沈黙が流れる。
東山で最高位の神が禍津神に殺された。その事実が俺の頭を混乱させる。
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