Bloom 7 恋は曲者、あなたは変わり者

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再会はただの成り行きや偶然ではなく、私が知らないところで諏訪くんが仕組んでいた……ということらしい。 「会えるだけでよかったはずだったのに、香月に会ったらそこで終わりたくなくなって、香月の現状を知って利用してやろうと思った」 整理できない思考が、現実に追いついてくれない。 「香月を言い包めて、俺の傍に置いて……甘やかして大切にして、俺だけのものにしたいって」 「……っ」 射抜くような視線を寄越され、たじろいでしまう。鋭く激しい双眸の奥には、私が知らない彼がいる。 目の前の人は友人ではなく、瞳に雄の光を宿したひとりの男性だった。 「下心ばっかりで、全然いい奴じゃないだろ?」 ふっと笑った諏訪くんは、吹っ切れたような顔をしている。反して、私は動揺と困惑を隠せない。 「ここまで話したから全部言うけど、香月と一緒にいるときはずっと我慢してた」 そういえば、なにを我慢させてしまったんだろう。ようやくして追いついてきた思考が、その疑問にたどりつく。 「香月に触れたくて、抱きしめたくて、キスしたいって。ずっと思ってたんだ」 直後、熱を孕んだ囁きが落とされ、反射的に息を呑んでいた。 恋愛経験がない私でも、高校時代の初恋しか恋心を知らない私でも……。さすがにここまで言われたら気づかないはずはない。 彼の本心――とやらに。
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