Bloom 8 恋は盲目でも、

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「志乃の傍にいる口実になると思ったのにな」 「……っ!」 いたずらな言葉が落とされ、うなじを撫でる息遣いに腰が砕けそうになる。粟立つ背筋を守るように、勢いよく振り返った。 「もうすぐできるからっ……!」 それが失敗だったと気づいたのは、ほんの一秒後。ばっちりとぶつかった双眸が私を捉え、端正な顔が間近にあることに固まってしまった。 そんな私の反応を楽しむように緩められた彼の瞳には、好きと言わんばかりの感情が宿っていた。 この一週間、諏訪くんはとにかく甘い。優しいのも気遣ってくれるのも変わらないけれど、事あるごとにこうして私に絡んでくるのだ。 彼にからかわれていることはわかるのに、私が体を強張らせないギリギリのラインで踏みとどまってくれるところがずるい。 ドキドキして、胸の奥が甘苦しくて、困ってしまう。それでも、決して嫌じゃないことがまた厄介で、強くは拒絶できない。 「あのっ、お願いだからあっちで待っててください!」 諏訪くんをキッチンから追い出せば、彼は気分を害する様子もなく笑っていた。 ちなみに、敦子には電話で報告したのだけれど、『やっとくっついたんだ』とあっけらかんと言われてしまい、ドキドキしながら打ち明けた私は拍子抜けした。 彼女いわく、『時間の問題だと思ってたから』とのこと。もちろん、祝福の言葉もかけてくれたけれど。
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