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諏訪くんには先にお風呂に入ってもらい、体が解れた状態でヘッドスパをすることになった。彼がバスルームから出てきたタイミングでパウダールームに行き、ダイニングチェアを使ってシンクの傍に頭を置いてもらう。
私が自分で試したときよりも、少しばかり窮屈そうだ。諏訪くんとの身長差の分、体勢に無理があるかもしれない。
「腰や首が痛くなりそうだったら言ってね」
頷きながら「大丈夫だよ」と笑った彼の瞼に、ホットタオルを置く。
「もうすでに気持ちいいんだけど」
「施術はこれからですよ、お客様」
「じゃあ、お願いします」
「かしこまりました」
ごっこ遊びのようなやり取りのあと、シャワーに切り替えた蛇口からお湯を出し、適温になったところでゆっくりと髪を濡らしていった。
「お湯加減、熱くないですか?」
「……ん、大丈夫」
息を短く吐いた諏訪くんに安堵し、彼の体勢を気にしつつも泡立てたシャンプーで頭皮をマッサージするように髪を洗っていく。
「ああ……めちゃくちゃ気持ちいいなー……」
「まだ始まったばかりだよ」
「ん~……」
気の抜けたような返事に、瞳が緩んでしまう。リラックスしてくれているようで、ひとまずホッとした。
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