Bloom 8 恋は盲目でも、

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一度シャンプーを洗い流し、再びよく泡立てて丁寧に洗う。指の腹で頭皮を揉むように、けれど力を入れすぎないように。 「かゆいところはございませんか?」 「……うん。でも寝そうだ……」 「いいよ、寝ても。終わったら起こしてあげるから」 「もったいないからやだ」 どこか子どもっぽくなった口調に、ふふっと笑ってしまう。なんだか可愛くて、心がくすぐられる。 「トリートメントもするね」 ところが、しばらくして声をかけると、諏訪くんからの返事はなかった。どうやら微睡み始めたようで、呼吸音が寝息に変わっていく。 起こさないように静かにトリートメントを手に出し、優しく揉み込んでいったあとで、じっくりと頭皮をマッサージした。 私が働いていたサロンのヘッドスパは、一番人気のアロマスパを始め、クレイスパなどがあり、どれも三十分以上のコースから承っていた。一番長いもので四十五分。 ただ、サロンのようなチェアを使用していないため、同じ時間だけするとあとで首や腰が痛むかもしれない。それを懸念し、二十分ほどで終わらせた。 話しかけるのは可哀想だけれど、このままというわけにはいかない。規則的な寝息を立てる彼の唇を見ながら、控えめに「諏訪くん」と呼んだ。
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