Bloom 8 恋は盲目でも、

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「終わったよ」 「……ん」 曖昧な返事を紡ぐ唇とは裏腹に、諏訪くんが起きる気配はない。それどころか、彼は再び寝息を立て始めた。 形の綺麗な唇が、小さな吐息ともつかない呼吸を繰り返す。ただの寝息なのにやけに色っぽく思えて、諏訪くんの唇に見入ってしまった。 (いつか、キス……とかしちゃうのかな) 心の中で呟いた言葉に、頬がボッと熱くなる。 未だに自分から触れにいくときは心構えが必要で、彼に触れられるときにも緊張するのに、最近はこんな想像をしてしまうことが増えた。 (私、変だよね……。こんなこと考えてるなんて……。でも……) 不思議だけれど、前みたいに諏訪くんとの先をまったく想像できない……なんてことはない。彼とのスキンシップを、唇が触れるその瞬間を、密か何度も想像している。 手を繋いだあの日からは特に拍車がかかり、自然と諏訪くんの唇に目がいくようになり、無意識に自分の唇を触ることもある。 (なんでこんなこと考えちゃうんだろ……。諏訪くんは私のペースに合わせてくれてるっていうのに……) 邪念を追い払うがごとく首をブンブンと横に振り、息を大きく吐く。もう一度声をかければ、彼はようやく意識が覚醒したようだった。
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