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「……怖い?」
少し考えて首を横に振る。不安はあるけれど、不思議なくらい恐怖心はない。
むしろ、心と体はもうとっくに諏訪くんを受け入れる準備を整えていた気がする。
「なにも考えないで。俺だけを見て、俺だけを感じて」
それを上手くできるかはわからない。ただ、もしできなくても、彼はきっとそんな私のことすらも受け入れてくれる。
「うん……」
諏訪くんへの信頼と想いがそう確信させ、迷うことなく頷けた。
直後、明るかった部屋がダウンライトに切り替えられ、密やかな蜜戯にふさわしい空間になった。
髪を梳かすように何度か撫でた手に、頬をそっと包まれる。
他の男性なら怖くても、彼のものだというだけで安心できる。優しく労わるように触れてくれるから、もっと触れてほしいとまで思う。
唇にくちづけが落とされ、ベッドに身体を横たえさせられれば、私に覆い被さる諏訪くんの重みを感じた。やっぱり怖くない。それどころか、触れ合えることが嬉しい。
さっきのような深いキスに変わっていき、頬にあった手が首筋をたどる。くすぐったさにも似た感覚なのに、キスのせいかその感触のせいか吐息が漏れた。
「志乃、好きだよ。志乃が思ってるよりもずっと、志乃が好きだ」
私が苦しくなる前に唇が離れ、額にそっとくちづけられる。
その間にブラウスのボタンがすべて外され、彼の眼前に下着をさらした。
羞恥はあるし、心臓はうるさいくらいに暴れているけれど、諏訪くんの言いつけを守るように彼だけを感じようと意識する。それはそれで恥ずかしいのに、視線が交われば自然と笑みが零れていた。
首筋や鎖骨に触れていた手が、膨らみにそっとたどりつく。
目立つ胸がずっとコンプレックスで、異性からの目が怖かった。それなのに今は、諏訪くんの体温に安堵感に似たものを抱いた。
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