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聖夜が終わる頃、私たちは翔の寝室のベッドで体を重ね合わせていた。
お互いの体温を掻き抱くようなきつい抱擁を交わし、水音を響かせながら甘ったるいキスを繰り返す。骨張った手が私を愛で、節くれだった指が密やかな戯れを施す。
熱気がこもったベッドは軋み、彼の素肌をたどる汗が私を濡らした。
他人が聞いたら陳腐に思える愛の言葉も、蜂蜜を練り込んだような熱い吐息も、情欲を煽っていく。かすれた声で名前を呼ばれるたび、愛おしさで胸が締めつけられる。
これほどの至福を与えてくれるのは、翔しかいない。彼じゃなければ、こんな風に心が満たされることはない。
私も同じだけ……できればそれよりも少し多く、翔に愛を与えたい。
「翔……」
雄の欲を孕ませていた瞳が、私の声で柔らかな弧を描く。
「好き……大好きだよ」
「……うん。俺も――」
愛してる――。
そう聞こえたのは、夢か現実か。
その判断がつかないままに瞼の重みに負けてしまい、私はこの上ない安堵感の中で意識を手放した――。
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