Bloom 9 雲となり雨となるとき

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聖夜が終わる頃、私たちは翔の寝室のベッドで体を重ね合わせていた。 お互いの体温を掻き抱くようなきつい抱擁を交わし、水音を響かせながら甘ったるいキスを繰り返す。骨張った手が私を愛で、節くれだった指が密やかな戯れを施す。 熱気がこもったベッドは軋み、彼の素肌をたどる汗が私を濡らした。 他人が聞いたら陳腐に思える愛の言葉も、蜂蜜を練り込んだような熱い吐息も、情欲を煽っていく。かすれた声で名前を呼ばれるたび、愛おしさで胸が締めつけられる。 これほどの至福を与えてくれるのは、翔しかいない。彼じゃなければ、こんな風に心が満たされることはない。 私も同じだけ……できればそれよりも少し多く、翔に愛を与えたい。 「翔……」 雄の欲を孕ませていた瞳が、私の声で柔らかな弧を描く。 「好き……大好きだよ」 「……うん。俺も――」 愛してる――。 そう聞こえたのは、夢か現実か。 その判断がつかないままに瞼の重みに負けてしまい、私はこの上ない安堵感の中で意識を手放した――。
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