Bloom 1 縁は異なもの味なもの……?

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なによりも、これ以上は諏訪くんの隣にいるのがつらかった。 夢を教え合ったとき、卒業するとき……。私を応援してくれていた彼にがっかりされたんじゃないかと、ずっと気がかりだったから。 もし美容師を続けていたら、もっと胸を張って諏訪くんに会えたんだろうか。 男子が苦手だった私が恋をした、唯一の男の子。 どうせ再会するのなら、せめてかっこ悪くない自分でいたかった。 初恋の彼の記憶に残るのは、不甲斐ない今の私よりも、あの頃のままの私の方がずっとよかった。 (……って、やめよう。卑屈になりたくないし、まだ退職して三ヶ月なんだから、これからもっと頑張ればいいんだよ) 自分自身に言い聞かせるように心の中で唱え、必死に口角を上げる。 「ねぇ、ひとり? もしよかったら、これから飲みに行かない?」 直後、目の前に影ができ、顔を上げるとふたり組の男性が立っていた。 「おお、めっちゃ可愛いじゃん」 「しかも、体もいい感じだし? 君、胸おっきいね~」 全身を這い回るような視線に、肩がびくつく。無視して歩き出したいのに、全身が強張って足が動かない。 「俺ら、さっき振られちゃってさー。傷心中なわけよ。だから、慰めてくれない?」 両側から囲まれ、肩や腰に手が回される。 「ひっ……」 体が震え始めた私からは引き攣った声が漏れ、恐怖心に包まれて慄いた。
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