Bloom 10 七転び八起きも、あなたの傍でなら

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「最後だから、個人的なことを話していいかしら」 「は、はい……!」 唐突に敬語じゃなくなったことに驚きつつも、慌てて首を縦に振る。これまでとは違う態度を前に戸惑う私に反し、彼女は真剣な面持ちだった。 「私、甘ったれた人間が嫌いなの。自分の足で立とうとしなかったり、人に頼ってばかりだったり……。周囲にどうにかしてもらおうとする人には嫌悪感を抱くのよ。正直、あなたはそういう人だと思ってた」 当時の私は、そんな風に思われていても仕方なかったのかもしれない。 篠原さんには嫌われていると感じていたけれど、ようやくその理由がわかって妙に納得できた。 「社長と同居していることも最初に聞いていたから、余計にそう感じたのもあると思うわ。社長の家でのんきに料理をしていたあなたに苛立ったのも事実よ」 彼女の言葉を素直に聞けたのは、きっと話し方が優しいからに違いない。それに、今はそう思われていないというのは、さっきの会話からも伝わってきている。 だから、私も篠原さんから視線を逸らさなかった。 「でも、あなたは違った」 不意に表情を和らがせた彼女が、申し訳なさそうに息を小さく吐いた。
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