Bloom 11 あなたとの恋路は縁のもの

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「まぁ、最初に厳しいこと言ったし、緊張もするか。でも、厳しさなら夏の方が上だし、あいつのところで合格してるんだからもっと自信持ちなよ」 オーナーの言う通り、厳しさという意味ではオーナーや恵比寿店の店長の比ではないくらい、夏さんが一番スパルタだった。 彼女は話し口調も性格も優しいものの、仕事に対する厳しさはそこから想像できないほどで、アシスタント業の段階で辞めた人がいるというのも頷けた。逆に、厳しいイメージだったオーナーの方が、意外にも優しくダメ出しをしてくれる。 オーナーいわく、そんな夏さんのもとで最初に研修をさせるのには、本気でやる気があるのかを見るためでもあるらしい。 『夏の指導に耐えられなければ、どのみちうちではやっていけないと思うから』と――。 これが社会人一年目のときだったら、耐えられなかったかもしれない。 けれど、夏さんもオーナーも理不尽なことは一度もなく、仕事に対する姿勢には尊敬の念しか生まれない。信頼感も増したため、どれだけダメ出しされても食らいついていこうという気持ちがあった。
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