Bloom 1 縁は異なもの味なもの……?

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「あれ? 震えちゃってるよ」 怖い――。 ただそれだけの感情に支配されていく。 「可愛い~!」 肌に触れる息が恐怖心を煽り、得も言われぬ嫌悪感を連れてくる。 もう大丈夫だと思ったのに、嫌な記憶がフラッシュバックして動悸がする。 「じゃあ、行こうか。悪いようにはしないからさ」 拒絶したいのに、体はまったく動かず、声も出せない。 周囲を行き交う人はたくさんいるはずなのに、きっと私たちのことなんて眼中にないんだろう。 呼吸が上手くできないせいか、それとも恐怖心のせいか、視界が歪んでいった。 「おいっ‼」 刹那、両側を塞いでいた男性の気配が消え、背後に引っ張られた。 そのまま体が返され、優しい温もりに包まれる。 「なにしてるんだよ!」 地を這うような低い声が、頭上から降ってくる。 氷点下の声音なのに、私を守るように回された腕が温かいせいか、不思議と恐怖心はない。 それどころか、さっきまで感じていたはずの恐怖も嫌悪も消えていた。 「なんだよ、連れがいたのかよ! だったら、誘うような態度を取るなよな!」 言い捨てるように遠のく足音を聞きながら、唇を噛みしめる。 一度だってそんな態度を取ったつもりはないのに、どうしてあのときと同じようなことを言われてしまうんだろう。 悔しさと同時に、自分に非がある気がして、やり場のない感情が込み上げてくる。
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