Bloom 11 あなたとの恋路は縁のもの

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クタクタの体で帰宅すると、リビングから翔が顔を覗かせて「おかえり」と微笑んでくれた。自然とキスを交わし、「お疲れ様」と労い合う。 「今日はいっぱいダメ出しされちゃったんだけどね、オーナーの指導は他のふたりとはまた違って、すごく勉強になるの」 翔も土日に必ず休むわけじゃないけれど、現状ではどうしても休みが合わない。サービス業の私の休みは平日ばかりだし、研修期間中は土日に休むのは難しいからだ。 だから、夕食のときにその日のことを報告し合うのが日課になっていった。 「志乃、生き生きしてるよな。ダメ出しされたって言いながらも嬉しそうだし」 「だって、楽しいんだもん。きついし、自分の腕が鈍ってるのも痛感して悔しいけど、スタッフの意識が高くて刺激されるんだ。早くスタイリストデビューしたいから、食らいついていかないと」 「ははっ、食らいつくか。志乃からそんな言葉が出るなんて信じられないな」 笑い声を上げた翔につられて、私まで笑ってしまう。 私らしくない言葉かもしれないけれど、今は毎日そういう思いで仕事と向き合っている。練習でクタクタになる日々は、学生時代や美容師になりたての真っ直ぐだった頃の気持ちが蘇ってきて、まだまだ頑張れそうだと思える。 「翔は? 新しい企画を遂行中だって言ってたけど、どんな感じなの?」 優しい笑顔で私を見つめていた彼に尋ねれば、端正な顔が喜色を浮かべた。
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