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お盆休みは初日だけお互いに実家に帰り、二日目はその足で温泉旅館で一泊し、三日目の夕方に家に戻った。
四日目には真夏だというのにテーマパークに行き、ふたりしてクタクタになるまで遊んだ。
ふたりの休暇が丸々重なったため、普段できないことをしようと決めたのだ。五日目の今日はさすがに疲れ切ってしまい、まだベッドから出られないのだけれど。
「もう一時半か」
「そろそろ起きない? お腹空いたでしょ?」
「もうちょっとこのままがいい」
ぎゅうっと抱きしめられ、素肌に触れる翔の体の面積が大きくなる。密着したふたりの体にはなにも隔てるものがないから、つい昨夜のことを思い出してしまう。
けれど、甘えたような彼が可愛くて、お腹の虫が鳴かないことを願いながら逞しい胸板に頬をすり寄せた。
「……そういう可愛いことするのか」
「ダメ?」
「別にいいよ、志乃がこのまま俺に抱かれたいならね」
「……っ!」
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