Bloom 11 あなたとの恋路は縁のもの

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翌日、翔を見送り、三十分ほどして私も出勤した。 「いよいよ今日からね。午後一番に早速カットに入ってもらうわよ。新規だから指名をもらえるように頑張って」 夏さんの指示に返事をしてから普段通りに準備を終え、バックヤードで練習を始めた。お盆休み中も家で少しは練習したけれど、やっぱりお店の方が気が引き締まる。 あっという間に午後になり、予約の確認をしようとレジカウンターに行ったところで、ドアが開いてお客様が入ってきた。 「いらっしゃいま――⁉」 「こんにちは。カットの予約を入れてる諏訪です」 「……っ、なんで……」 「だって、志乃の再デビューの一番最初の客になりたかったから」 そう言って笑うのは翔で、会社にいるはずの彼が目の前にいることに驚きを隠せない。目を白黒させていると、手が空いた夏さんがやってきた。
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