Bloom 11 あなたとの恋路は縁のもの

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「彼ね、志乃ちゃんのデビューが決まった翌日に連絡をくれて、『内緒で予約させていただけますか?』って。事情を訊いたら恋人だって言うから協力しちゃった」 にこにこと笑う彼女と翔に、サプライズを仕掛けられてしまったみたいだ。まだ平静を装えなかったけれど、なんとも彼らしい。 「仕事は大丈夫なの?」 「半休を取ったんだ。タケには呆れられたけど」 肩を竦める翔は、私が思っている以上に〝一番〟にこだわっていたようだ。嬉しいけれど、夏さんに恋人を紹介するのは恥ずかしかった。 「ほら、早くご案内して」 「は、はい……。それでは諏訪様、こちらへどうぞ」 店内に案内して、椅子に座った翔と鏡越しに目が合う。悪戯が成功した少年みたいな顔をした彼は、まるで高校生の頃の〝諏訪くん〟だ。 「今日はどのようにされますか?」 「お任せします」 けれど、私は無邪気さを覗かせた笑顔に弱いのだ。 仕事中だというのにときめいてしまい、そんな自分を叱責しながら「かしこまりました」と微笑んだ――。
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