Bloom 1 縁は異なもの味なもの……?

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動かなかった足は、なんとか役目を果たしてくれそうだ。 それでも、いつも通り機能してくれず、力を入れようとしても震えてしまう。 通行人に舌打ちをされ、ようやく邪魔になっていることに気づいて焦ったけれど、なかなか一歩が踏み出せなかった。 「……ごめん、香月。どうしても嫌だったら殴って」 「え? ……っ、諏訪くん⁉」 言うが早く、諏訪くんは私の体を抱き上げ、横抱きにして歩き出した。 「わ、私……自分で歩けるから……!」 「でも香月、震えてるだろ。変なことはしないから、ちょっとだけ我慢して」 彼の指摘で、初めて全身が震えていることを自覚する。 寒さのせいだと言い訳したいけれど、今夜は日中の気温を残しているように蒸し暑い。 胸の前で両手を握るようにすると、震えがわずかに治まった。 男性に触れられると、嫌悪感と恐怖心を抱くだけだと思っていた。 だって、いつもそうだったから。 けれど、今は嫌じゃないし、なぜかちっとも怖くない。 (知ってる人だから……?) 自分自身の感覚に戸惑いつつも、私は逞しい腕の中で大人しくしていることしかできなかった――。
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