Bloom 2 災い転じて同居が始まる

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* * * 高校を卒業後、美容師の資格を取るために専門学校に進学し、三年後に就職したところまではよかった。順風満帆とは言わないけれど、そこそこ順調だったと思う。 就職先は大手ではないものの、都内に十二店舗を構える人気店。トップスタイリストの中には、二ヶ月先まで予約が埋まるほど人気の人もいた。 インターンでお世話になったとき、オーナーと店長の人柄のよさや、スタッフが和気藹々としていたところにも好感を持ち、安心して働ける職場だと実感した。 ところが、新社会人になってすぐ、そんなものは打ち砕かれてしまったのだ。 私が配属されたのは、十二人のスタッフのうち八人が男性という男女比率の偏った店舗で、それ自体はインターンのときからわかっていた。 できれば女性比率の高い店舗に配属されたかったけれど、もちろん選択権はない。 物心ついたときから身内以外の男性が苦手で、高校と専門学校ではなんとか普通に話せるようにはなったものの、そういった事情からいささか不安はあった。 けれど、先輩たちはとても優しく、なんとかやっていけると思っていた。ところが、梅雨も明け切らないうちから、私の環境はどんどん悪い方へと変わっていった。 最初は、気のせいだと思った。それが〝気のせい〟では済まなくなったのは、就職して三ヶ月が経った頃のこと。
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