Bloom 2 災い転じて同居が始まる

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猛暑日が続く真夏でも、できる限り露出の少ない服を選んで。仕事中は特に意識して、男性スタッフとは最大限の距離を取るように気をつけた。 抵抗だってしなかったわけじゃない。強くは言い切れなかったものの、はっきりと『やめてください』と訴えたことも、こらえ切れずに泣いてしまったこともある。 それなのに、『泣き顔を見るともっと触って癒してあげたくなるんだよね』とまで言われ、涙を見せることは事態を悪化させるのだと恐怖心を抱いた。 我慢し切れなくなり、思い切って女性スタイリストに相談したときには『ちやほやされて満更でもないんでしょ』と呆れたように笑われ、さらに絶望した。インターンのときには優しかった同性の先輩からの言葉にも、そんな風に思われていたことにも、大きく傷ついた。 同期は男性スタッフひとりで、女性スタッフはみんな先輩だったこともあり、勇気を出して相談したのに……。その結果が、私をより追いつめた。 けれど、少しずつ仕事を任せてもらえるようになっていた時期だったことが、私に退職という選択肢を失くさせた。 毎日、出勤するときには足が竦みそうになり、男性スタイリストとふたりきりになるのが怖くて……。ときには動悸がしたこともあった。
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