Bloom 2 災い転じて同居が始まる

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平岡さんから不用意に体を触られることが増えていくたび、女性スタッフからの風当たりも強くなり、どんどん居場所がなくなっていった。 ひとりだけ雑用を押しつけられ、夜遅くまでサービス残業をした日は数え切れない。 三年目でスタイリストとしてデビューできてもセクハラがなくなることはなく、いつの間にかパワハラまでひどくなっていた。 辞めようと思ったのは、一度や二度じゃなかった。 それでも、ようやくスタイリストとしてデビューできたというのに、転職したらまたアシスタントから始めなければいけなくなる。 サロンにもよるけれど、スタイリストとしてデビューしたばかりの三年目の美容師ではそれが普通だろう。それに、学生時代からずっと男性から好奇の目を向けられてきたからこそ、どこに行っても同じことになるかもしれない……と思ったのもある。 だから、とにかく耐え抜こうと決めた。 事態が好転したのは、四年目の春。系列の店舗に異動になり、ようやくこの環境から抜け出せるかもしれないとホッとした。 そして、私の希望を叶えるように女性スタッフの多い店舗に配属され、その一年間は平和に過ごせた。同僚との関係性も良好で、働きやすい環境だった。 指名してくださるお客様も徐々に増え、ようやく美容師として適切なスタートラインに立てたような気持ちになり、前向きに頑張ろうと思った。
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