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「確かにそうだよね。私、荷物はほとんどないの。敦子の部屋に全部は運び込めないから、今はレンタルスペースを借りてるんだけど、家財や家電はなくて……」
「じゃあ、服とかだけ? それなら、俺の車でも事足りるかもしれないな」
「そんな……さすがに、諏訪くんにそこまで迷惑はかけられないよ。レンタカーを借りるか、業者に頼むから」
「気にしなくていいよ。寮に案内するついでだし、友達なんだから頼ってくれた方が嬉しい」
戸惑う私を余所に、彼は「そうしよう」と言い切ってしまう。
「明日の一時に迎えに行くよ。レンタルスペースに寄ってから寮に案内するから、ひとまず持ち運べそうなものだけ準備して待ってて」
サクッと予定を立ててしまった諏訪くんが、にっこりと笑う。ここまで頼るのは申し訳ない反面、お世話になる身としては頑なに断るのもよくない気がした。
なにより、彼の提案は本当にありがたい。
気が引けるものの、落ち着いたらなにかお礼をしようと決めて、「お願いします」と頭を下げた――。
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