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諏訪くんの家の周辺を散策し、スーパーやドラッグストアを回った。
両手いっぱいの荷物に息切れしながらもマンションにたどり着くと、コンシェルジュに出迎えられる。まだ慣れない状況に緊張しつつも、女性スタッフから「おかえりなさいませ」と声をかけられ、笑みを浮かべて会釈をした。
コンシェルジュがどう聞いているのかは知らないけれど、出かけるときには『いってらっしゃいませ』と言われたから、私は住人ということになっているのだろうか。
高級低層レジデンスも、カードキーも、私には分不相応すぎて気後れしてしまう。
彼が『俺の寝室と書斎以外は好きに使って』と言ってくれた4LDKの室内は、モデルハウスのように綺麗で広い。
優に二十帖は超えたリビングには、アイランド型のキッチンとフランスのインテリアブランドのテーブルセット、そしてL字型のソファが置かれている。家電量販店で見る中で一番大きなサイズほどのテレビは、アクション映画を観れば迫力満点だろう。
グレー系で統一されたパウダールームにはダブルシンクが、バスルームにはゆったりと足を伸ばせるバスタブが設置されていた。各部屋のクローゼットや玄関のシューズボックスも充分大きいのに、ウォークインクローゼットまである。
バルコニーに置かれたロッキングチェアでは、ときどき読書をしたりお酒を飲んだりしているのだとか。
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