Bloom 3 遠くの親類より再会した初恋の人?

6/18
前へ
/205ページ
次へ
「いい匂いだな」 「あ、うん。ちょうどできたところなんだけど、もしよかったら一緒に食べない?」 「え?」 「もちろん、無理にとは言わないんだけどっ……! お腹空いてないとか、苦手なものとかあるかもしれないし……」 目を丸くした彼を前に、慌てて逃げ道を作る。断られる可能性を考えていなかったことに気づいて、今さらためらってしまった。 「いや、嬉しいよ。実はお腹ペコペコなんだ」 「本当? あ、でも諏訪くんの口に合うかはわからないんだけど」 「絶対うまいよ。香月、高校のときは自分で弁当作ってただろ? いつもうまそうだなって思ってたから楽しみだ」 諏訪くんが高校時代のことを覚えてくれていたことも、そんな風に思ってくれていたことも、とても嬉しい。けれど、あまりに素直に言われてドキドキした。 それに、断られなかったことにはホッとしたものの、ハードルが上がった気がして別の心配事ができてしまう。 もっとも、料理は完成しているし、自分から誘った以上は今さらなかったことにはできない。手早くテーブルにお皿を並べ、彼と向かい合って座った。 「じゃあ、いただきます」 瞳を緩めた諏訪くんが両手を合わせ、お箸でハンバーグを掴んで口に運ぶ。固唾を飲むような思いで様子を見守っていると、直後に彼の目が見開かれた。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8011人が本棚に入れています
本棚に追加