Bloom 3 遠くの親類より再会した初恋の人?

7/18
前へ
/205ページ
次へ
「うまい! 香月、このハンバーグめちゃくちゃうまいよ!」 諏訪くんの表情が、まるで少年のように無邪気に綻んでいく。それはお世辞じゃないのは明白で、私は安堵とともに喜びを抱いた。 「この味噌汁も、ちゃんと出汁を取ってるよな? カツオの味がしっかりしてる」 「今日は時間があったから。いつもちゃんとしてるわけじゃないよ?」 「でも、これだけ作るのって時間がかかるだろ」 おろしハンバーグ、タコときゅうりの酢の物、きのこの和風マリネ、ナスと玉ねぎのお味噌汁。ハンバーグの付け合わせは、ブロッコリーと人参のグラッセにした。 確かに、少し時間がかかったけれど、彼に喜んでもらえたのなら作った甲斐がある。 「実は、香月がまだ晩ご飯を食べてなかったら、近所のイタリアンにでも誘うつもりだったんだ。そこ、結構うまくてよく行くんだ」 「そうなの?」 「ああ。でも、香月の料理の方がうまいし、香月の手作りが食べられてラッキーだ」 ふわりと優しい笑みを携え、恥ずかしげもなく話した諏訪くんには、きっと他意はない。それはわかっているからこそ、ドキドキしている場合じゃない。 「そっか。そんな風に言ってもらえてよかった」 必死に平静を装い、なんとか笑顔を返す。彼は喜びを隠さずに箸を進め、綺麗に平らげてくれた。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8010人が本棚に入れています
本棚に追加