Bloom 3 遠くの親類より再会した初恋の人?

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夕食後、諏訪くんから「話がある」と言われ、ふたりでソファに座った。少し離れて腰掛けた彼は、やっぱり私と適度な距離を保ってくれる。 諏訪くんが怖くないのは、こういう気遣いを当たり前のようにしてくれるからなのかもしれない。本音を言うと、川本くんたちにはわずかとはいえ恐怖心があったけれど、諏訪くんにだけは再会したときからずっと恐怖や嫌悪感を抱いていない。 諏訪くんとは一緒に過ごせるなんて信じられないけれど、少なくとも私にとって彼だけは他の男性とは違う。それはもう、自覚している。 たまにドキドキするのは、諏訪くんと一緒にいると淡い恋をしていた頃を思い出してしまうからなのかもしれない。それに、彼があまりにも素直な気持ちを口にしてくれるのも、なんだか面映ゆかった。 「俺と同居するのは大丈夫そう?」 ぼんやりしていると、諏訪くんが私を見つめていた。彼の質問を頭の中で反芻し、控えめながらも頷く。 「うん。諏訪くんは優しいし、すごく気を遣ってくれるし、大丈夫だと思う。でも、諏訪くんは本当にいいの?」 「もちろん。無理なら最初からこんな提案はしないよ。それに、俺も香月となら上手くやっていけそうだと思ってるし」 諏訪くんの言葉に安堵したあとで、それなら色々と決めておかなければいけないと思い至る。さすがに、すべて彼におんぶに抱っこ……というわけにはいかない。
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