Bloom 3 遠くの親類より再会した初恋の人?

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「じゃあ、家賃はいくら払えばいいかな? さすがに半額とかは無理だけど、いくらかは入れさせて。あと、私にできることはするから、なんでも言ってほしい」 諏訪くんに控えめに訊けば、苦笑を零されてしまった。 「まさか家賃なんて取る気はないよ」 「え、でも……」 「家も仕事もなかった女の子から家賃を巻き上げるなんて、悪人みたいじゃないか」 冗談めかした彼に、首を横に振る。 「そんなこと……! 住まわせてもらって仕事の面倒も見てもらうんだから、むしろこれくらいはしないと……」 「本当にいいよ」 一向に首を縦に振らない諏訪くんを見て、ようやく彼は最初からそのつもりだったのかもしれない……と気づく。きっと、私から家賃を取る気なんてなかったのだ。 「その代わり、今日みたいにときどき食事を作ってくれると嬉しい」 「それはもちろん! っていうか、そんなの家賃とは別にさせてもらうよ。諏訪くんにはお世話になりっぱなしだし、家事くらいなら私にもできるから」 「ありがたいけど、掃除や洗濯は週二回ハウスキーパーに頼んでるし、間に合ってるんだ。家賃の件はこれで終わりにしよう」 これ以上の押し問答をしても、恐らく私が諏訪くんに敵うことはない。現に、必死になっている私に反し、彼は優雅に足を組んでコーヒーを飲んでいる。
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