Bloom 3 遠くの親類より再会した初恋の人?

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女子なんて面倒くさい生き物だと思っていた。恋愛よりもサッカーがしたかった俺にとって、練習の邪魔をしたり試合のたびにピッチの外できゃあきゃあ騒いだりする女子たちは、ストレスの対象でしかなかった。 それなのに、目の前にいる香月だけはまったく違い、彼女に対しては抗うことのできない激しさで〝女〟を意識させられた。 体の奥底から熱が込み上げてくる感覚と、身に覚えのある欲望。男の(さが)を決して悟られたくないのに、このままなんの接点もなく立ち去りたくない。 『あのさ……』 意を決して口を開いたとき、香月が肩を大きくびくつかせた。 怖がらせたんだ、と気づいて動揺し、他の男子たちと同じようになりたくない一心で思いとどまる。 そのせいで、もう一度お礼を言い、保健室から離れるのが精一杯だった。 抱えたばかりの恋情を持て余し、どうすれば彼女との距離を縮められるのか悩みながら過ごす日々は、とても歯がゆく切なかった。 香月の姿を見れば、触れたくなった。誰かが彼女を泣かせたと知れば、殴ってやりたい衝動に駆られた。 そうしているうちに香月との距離を縮められないまま三年生になり、幸いにも彼女と同じクラスになった。 千載一遇のチャンスか神様の采配か、なんてバカみたいなことを考え、どうすれば香月と仲良くなれるのかということばかり考えていたのに……。何度も男子に脅える彼女を見ていると、結局は自分の想いを押しつけるようなことはできなかった。 その後、何年経っても後悔するとも知らずに――。
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