Bloom 4 ぬるま湯に浸かりすぎないように

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「それならよかった。もし不安とか不満があれば、遠慮なく言って」 「そんな……。諏訪くんは私のことをすごく考えてくれてるから不満なんてないし、逆に申し訳ないくらいだよ。むしろ、諏訪くんこそ本当にいいの?」 諏訪くんは私のことを気遣ってくれるけれど、あのマンションは彼のもので、私は居候に過ぎない。ルームシェアならともかく、家賃も入れていないのだから……。 そんな中でもこんなに気を遣ってもらえることに感謝している反面、彼こそ本当に私と一緒に住んでいて大丈夫なのかと心配だった。 「前にも言ったけど、無理ならこんな提案はしないから。香月がご飯を作ってくれるおかげで、俺もすごく快適だしね」 「ご飯くらい……」 私がしてもらっていることに比べれば、私がしていることなんて微々たるものだ。 料理が好きな私にとって、食事の支度は苦じゃない。ふたり分を用意する方が作り甲斐があり、おしゃれなキッチンを使えることだって嬉しいし、料理がもっと楽しくなった。だからこそ、余計に申し訳ないのだ。 「わかってないな、香月。手料理が食べられるって、俺からすればすごくありがたいし、嬉しいことなんだよ。香月の料理はお世辞抜きでうまいしね」 さらりと褒められて、面映ゆいような気持ちになる。
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