Bloom 5 花は折りたし梢は高し……でもないかも?

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「緊張したっていうか……でも、諏訪くんの手が離れると、なんとも言えない気持ちになって」 「手が離れたら安心した?」 「……そうじゃないと思う」 安心なんてしていない。それなら、諏訪くんの体温を感じていたときの方が、そういう感覚には近かった。 「じゃあ、寂しかった、とか?」 思いもしなかった言葉に、瞬きを繰り返してしまう。自分では思い至ることはなかったものだけれど、言われてみれば遠からず……という感じがあった。 「それはないか。ごめん、忘れて」 「ううん、そうかも! 寂しいとは違うかもしれないけど、心がぽっかりする感じがあったから、意外とそういう感覚に近かったのかもしれない」 答え合わせをするがごとく、うんうんと頷く。微妙に違う気はしたものの、彼の言うことがなんとなく腑に落ちた。 ふと、唐突になにも言わなくなった諏訪くんを見ると、彼は呆気に取られたように静止していた。 「あの……私、なにか変なこと言っちゃったかな?」 「あ、いや……。ごめん、ちょっと考え事してた」 小首を傾げた私に向けられたのは、いつもと変わらない諏訪くんの笑顔だった。 「これから毎日、今日みたいに練習しないか? ちょっとずつ触れ合う場所や時間を増やしていくんだ」 彼の提案は、今夜で一番思いもよらないこと。 「もちろん、香月が嫌がることはしないし、あくまで香月の無理のない範囲でステップアップしていって、徐々に異性への抵抗感を減らすっていうか……」
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