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一人でいいしかない
信子は意識したくなくてもオートマティックに
気になる事が信子に質問を投げかけてくる。
「今日までの伝票は全部チェックしたの」
大丈夫、全ての伝票を3回計算しなおして伝票番号を整理して
ファイリングまで指差し確認した。
全ての部署に通知メールを送信済みな事も3回指差し確認した。
その為に認められない残業を3時間して私以外はとっくに帰っていたけど
間違いはない。
「明日のスケジュールは確認したの」
大丈夫、社内共有のスケジュール表は最後に社を出るギリギリで
確認した。スケジュールの書き換えは無い筈、さらに課長に
明日のスケジュールに変更がないかと口頭確認もした。
いきなりやってくる脳内質問に「大丈夫」と返答できなければ
そう出来るまで確認する。それが信子のスタイルだった。
一人、木造アパートの一室で安い割には度数のキツイお酒を
飲みながらテレビとスマホの画面を交互に見ながら過ごす。
翌日にはテレビの内容もスマホで何をしたかも全く覚えていないほど
虚無な時間。
だけどそれは新たな気になる事を生まない信子の理想の過ごし方だった。
少ない友人も結婚出産を機に少しずつ疎遠になりもう連絡先も知らない。
職場の人と飲んだりする事もあったけど、結局は異動や退職で
いなくなった。
30代までは男性にたまに誘われたが、それも最近はない。
そして今の1人で過ごすスタイルに落ち着いたが、信子自身それでいいと
思っていた。
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