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底には底がある
今の生活スタイルを何百回と繰り返していくだけの人生かな。
と落胆していた信子だったが、人生なんて何が起こるか分からない。
今の状態が底だと思っていたのは信子の思い込みで底は抜けるものだ。
そしてその訪れは唐突にやって来る。
いつもの様に虚無な時間を過ごしていた信子のスマホが鳴った。
知らない番号に無視して飲み続けていたが、切れても切れても
何回も鳴り続けた。
さすがに出るしかないと信子は電話に応答する。
「はい、もしもし・・・」
「あ、すいません、西代病院のソーシャルワーカーの山下と申します。佐々木信子様の携帯電話でお間違えないでしょうか」
「はい、そうですけど・・・(病院?ソーシャルワーカー?)」
「お母様の佐々木和代様なんですが、先ほどこちらの病院に救急搬送されました。夜間に急で申し訳ありませんが今からこちらに来ることは出来ますでしょうか」
「え、救急搬送⁉母に何があったんですか。母の容態は・・・」
「今の所、命に別条はありません。容態についてはこちらで詳しく説明したいのですが」
「分かりました、すぐに参ります」
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