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辞めてしまった仕事を探し、婚活サイトに入会した。
「僕にはもう、やり残したことも思いもありません。今の僕にはあなただけです」
そう言って、蛍一はオレを見上げる。
「・・・運命の糸が切れたと分かっても、僕にはあの人しかいないと思っていました。だからいつまでも心から消えないあの人を消したくて、早く誰かと番いたかった。あの人と番になれないのなら誰でもいい。誰と番になっても同じだ。だから誰でもいいから早く僕と番になって欲しい。・・・でも、誠也さんに会って分かりました。僕はあなたがいい。他の人じゃ嫌です。もしあの人が今僕の前に現れても、僕はあなたがいい。僕をあなたの番にしてください」
黒い瞳を濡らしながら、それでも目をそらさずに真っ直ぐオレを見て言う蛍一に愛しさが込み上げてくる。
この蛍を捕まえてもいいのだろうか?
いや、きっとオレが捕まったんだ。
オレは蛍一の頬を両手で挟んだ。
「もし君も、心が疲れてしまっていたのならオレのところで休んでいけばいいと思った。そしてまた元気になったら、再び飛び立てるようにその背中を押してやるつもりだったけど、やめる」
オレはそのまま顔を近づけていく。
「もうオレのところから飛び立たせたりはしない。捕まえて、永遠にオレのものにする」
そう言ってオレはアルファの独占欲をむき出しにして蛍一の唇に貪りつく。もう初心者のキスじゃない。
激しく、深く、蛍一を食べ尽くす勢いで口内をかき混ぜていく。
こんなにも自分のものにしたいと思ったのは初めてだった。
オレの本気の気とキスを受け、それでも懸命に応えようとする蛍一の意識が朦朧としてきているのに気づき、オレはようやく唇を離した。すると蛍一は整わない息と焦点の合わない目で懸命に言葉を紡ぐ。
「僕を・・・あなただけのものに・・・して・・・ください」
そのけなげは言葉にオレのタガが外れる。ことさら優しくしてやりたいと思っていた先程と違い、今度は激しく蛍一を抱いた。そんなオレに懸命に応えようと必死にしがみつき、声をあげ、そして何度も果てる蛍一に己を埋め、オレも何度も蛍一の中に白濁を吐き出す。そしてようやくお互いの熱が落ち着いてきた頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。
激しすぎる行為に気をやってしまった蛍一の身体を清め、ベッドの中で抱きしめる。
今日が初めてだというのに、結局自分を止められなかった。
華奢な身体はぐったりとベッドに沈み、白い肌には余すことなく赤いアザが散っている。
我ながら、なんて独占欲むき出しなんだ・・・。
年甲斐もなく暴走してしまった自分が恥ずかしい。
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