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初対面で平然と婚姻届を出す人が、誰とも肌を合わせたことがないって?
慣れているとは言わない。けれどその年も考えればそこそこ経験はあると思っていたが、まさか初めてとは・・・。
オレは優しく抱きしめながら、再び唇を近づけた。
「目を閉じて」
オレの言葉に何をされるのか分かった朝倉さんは慌てて目を閉じる。そんな彼が無性にかわいい。
優しくしてやりたい。
そう思いながらオレは唇を重ね、初心者向けに優しく柔らかく彼の口内を愛撫する。その度にビクンと跳ねる身体を抱きしめ、優しく背中を撫でてやる。
息が上がってきたのを見て、オレはいったん唇を離すと、閉じた目の下のほくろに口付けた。それにも身体をびくつかせる朝倉さんの目元をさらに小さく何度もキスをする。
本当にかわいいな。
やっと目元から唇を離すと、朝倉さんは睫毛を震わせながらそっとその目を開ける。まっ黒い瞳が欲情の涙に濡れている。そんな彼を抱きしめるように促し、ベッドに仰向けに寝かす。その上から覆いかぶさって、またキスをし、今度は唇を合わせながらシャツのボタンを外して彼の服を脱がしていく。
白い肌に胸の飾りが淡く色づいている。
体毛も、剃っているのか?と言うほど薄く、脇も下生えさえもほとんど生えていない。
キレイな身体だ。
この身体は誰の手にも染まっていない。
まるで奇跡。
唇を離し、本当に何ひとつ纏わぬ姿を上から見下ろすと、朝倉さんは恥ずかしそうに顔を横に背け、脇に置いた手でシーツを握りしめている。
恥ずかしいだろうに、身体を隠さないところがいじらしい。それでもオレの視線に感じているのだろう。浅い息を繰り返し、下肢は兆し始めている。
「な・・・成瀬さん・・・恥ずかしいです」
消え入りそうなその声に、けれどオレは見るのをやめない。そのキレイな裸体を見ながら自分も服を脱いでいく。
「誠也だ。これから深く繋がろうと言うのに、苗字呼びはおかしいだろう?蛍一」
蛍一という声に、彼はぱっと顔を上げてオレを見る。けれど裸のオレ・・・というか顕になったオレの下肢を見て一瞬目を見開き、真っ赤になって目を瞑った。オレのそこは蛍一の初心な反応とキレイな裸体にもうやる気になっている。
そのいちいち初心な反応がかわいい。
もう一人の蛍をレッスンした時を思い出す。あのときも頬を真っ赤に染めて、オレのやること全てに反応していた。
そんなあの子もオレの元を飛び立ち、ようやく生涯の伴侶と結ばれた。
そしてこの蛍はどうだろう。
初めての手ほどきをするには年を重ねているが、それがまた見た目とのギャップにそそられる。
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