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確かに好きだし、かわいい。何を置いても優先してあげたくなるし、あの子の気持ちいいことをたくさんしてあげたくなる。だからと言って、あの子への独占欲があるかと言うと、それはなかった。
あの子が誰かに恋をしてベッドを共にしても、何も感じないし、セフレが何人いようが全く気にならない。アルファの独占欲は全く反応しなかった。
なんて言うか放っておけない弟のような存在だ。
まあ、本当の弟とは寝たりしないけど・・・。
でもさすがにこの年まで独身でいるとは思わず、若干焦ってきていた。
オレはこれでも結婚願望はあるのだ。運命の出会いや運命の番なんてどうでもいい。そんなものはなくていいから、とにかく老後を共に過ごしてくれる伴侶が欲しかった。
昨今問題になっている孤独死。
まるで他人事のように感じていたことだったけど、ある日同世代の芸能人が孤独死した。そのニュースを見た時、それを一気に身近に感じるようになったのだ。
孤独死だけは絶対に避けたい。
そう思い、人生初めての婚活をしようと思ったのだ。一応あの子にも結婚しないか?と聞いてはみたけど、それはあっさり一蹴されてしまった。まあ、当然だ。あの子には拗らせた片思いの彼がいるし、そもそもあの子もオレをそう言う風には思っていないのだから。
ということで婚活サイトに申し込み、ネットで探すことにしたのだけど、運良くいい子がすぐに見つかった。
その子は若干年が若すぎるかと心配になったけど、いつもにこにこ笑って好印象だった。そして、話はとんとん拍子に進み、交際一ヶ月で成婚となった。
その間ベッドも共にして身体の相性も見ていたし、相手は何一つ拒まなかった。付き合う時も結婚を決めた時も、互いの両親と挨拶した時も、いつもにこにこ笑っていたから、オレはいい子が見つかってよかったと安心し、そのまま婚姻届も出してしまった。
無理強いは決してしなかった。
常に相手に意志の確認もしていたし、了解を得て話を進めていった。なのに、思わぬ拒絶を食らったのだ。
結婚生活は順調だった。
新居を決めて一緒に暮らし、夜の方も順調だったと思う。オレも毎日相手をほめて、優しくいい夫であるようにつとめた。相手だって毎日笑っていい感じだったと思っていたのに、初めて発情期がきたその時、オレは完全に拒絶されてしまったのだ。
普段のエッチはいい。
でも発情期はダメ。
何でだ?
オレたち結婚したよね?
そう言うと、番になるのが怖いのだという。
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